La Lune

ラ・フェルム・ド・ラ・サンソニエール

La Lune Amphores

例えば飲食店勤務で写真のワインを飲むのが初めてという若い子が来たとします。なんて説明すればいいんだろうと老婆心ながらに悩むのですが出来れば先入観無しにまずはまっさらな今の自分の感覚で飲んで欲しいとも思う。

一般のお客様にはフランスのロワールの生産者が手がけるシュナン・ブランという品種でアンフォラという甕に挑戦した意欲作です。芯はしっかりとしているのに優しい果実味でおすすめですとかお伝えしますがそれってこのワインを説明した事になるのかどうか不安になったりもする。もっと伝えることがあるのではという思いや上手く言葉に出来ないもどかしさ。

飲食関係者でその後ももしかしたらこういったワインに興味を持ってもらえるかもとか思うと下手に誘導したりするよりまずは今の自分の感覚全てをフルに使って味わって欲しいなと思うワイン。

なぜドメーヌではなくてフェルム(農園)なのかに思い至って欲しい。フランスではまだ珍しいアンフォラなんだと気付いて欲しいけどそんなのはこの造り手のワインがもしあなたのどこかに響けば後で調べればいい。まずは向かい合って欲しい。自分で調べないと最終的に知識は身につかないし経験を伴わない知識は空々しい。

作者とは作品の中で出会うべきだと思っています。生産者や輸入元、販売店やレストランがリリースノートや会話でどれだけ美辞麗句を重ねても液体にその想いが反映されてないのだとするとセールストークであって何かが違う。産地や品種、気候、マイクロバイオームも大切な要素ですがやはりまとめあげるのは人だと思っています。真摯に取り組む輸入元さんや販売店のようにぼくたちと繋げてくれるのもやはり人です。

積極的に介入して造るのもありですし生態系に配慮して慎重に介入しない造りもどちらもありだと思っています。
自然派(定義があるわけでは無いので別の言葉でもいいです)かどうかではなくその液体がどうかが大切だと思う。向かい合う姿勢も人それぞれでいいし楽しくみんなで飲むワインもあれば静かにグラスの中の液体とじっくりと向かい合うワインがあってもいい。

グラスで気軽に開けれるレンジでは無いかもしれませんが飲食の若い方々が続いたこともあり勉強でこの1週間でグラスでこちらを2本開けてたんですがあんまり説明しなかったのはまぁ、そういう事です。大事な事ほど口ごもらざるを得ない。