
パセミヤにあるテコの話
テコ、コテ、ヘラ。いろんな呼ばれ方をしていますが、パセミヤでは昔から「テコ」と言っています。こういう呼び方も、育った地域によって違うようです。
写真のテコは、現在パセミヤに残っている備品の中では一番古いもので、おそらく創業当時から使われているものです。お客様にお水を注いでいるウォーターピッチャーも、同じく創業当時からのもののはず。
尺貫法
テコの柄のところを見ると、サイズが「三寸五分」と表記されています。今の単位にすると、だいたい10.6cmです。
日本では1959年(昭和34年)から、一般の商取引で使う単位がメートル法に統一され、尺貫法による単位は取引や証明には使えなくなりました。とはいえ、それまで長く使われてきた単位なので、職人さんたちの世界では、その後もしばらく「ヤミ尺」などと呼ばれながら、尺や寸が慣習として使われ続けていたそうです。
そして1966年(昭和41年)4月1日には、尺貫法による計量器の製造・販売も原則として禁止されました。裁縫をしていたオカンも、尺の物差しが手に入りにくくなって困った、と言っていました。
パセミヤ創業当時の話
パセミヤは1965年、父の姉夫婦が始めた店で、父は店長として働いていました。
千日前の道具屋筋には、お好み焼きやたこ焼きの道具を扱う専門店があり、このテコもおそらくそこで買ったものだと思います。
パセミヤが創業した1965年は、ちょうどその前年です。そう考えると、「三寸五分」と刻まれたこのテコは、尺や寸という単位が商売や職人の現場から姿を消していく、その境目の時代に買われたものだったのかもしれません。
小さな道具ですが、制度が変わってもすぐには変わらない職人の世界や、当時の大阪の商売の風景が残っているようで、なかなか面白いものだなと思います。
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